グローバル市場面

「危機ストーリーは突然に
 銀行不安が招くドル安」

 記事の内容が深刻な割には、軽い表題です。昔のトレンディドラマに似ています。
 執筆者は編集委員の永井洋一さん。

 「金融危機の物語が始まるのは、いつも突然だ。中銀が利上げに転じても政策金利がインフレ率に追いつくまでには時間がかかり、その間、実質的には金融緩和が続くためだ。だが、米国の実質緩和の時も終わりが近づいている」
 緩和が終焉を迎えることは多くの人が実感していることでしょう。
 
 「米シリコンバレーバンク(SVB)などの銀行危機は、図らずも短期調達・長期運用という金融が抱える宿命的なリスクをあぶり出した。世界経済のパンドラの箱が開き、不都合な真実という名の不幸があふれ始めている」
 この表現、怖いですね。

 「自己資本拡充のため株式とも債券とも区別のつきにくい複雑な仕組みのAT1債を大量に発行しながらリスクビジネスに走り、経営が傾いたスイス金融大手クレディ・スイス・グループ。締め付けを強めれば強めるほど、金融危機が起きやすくなる自縄自縛の象徴だ」
 複雑な仕組みのAT1債ーーリーマンショックの引き金となったサブプライムローンを思い起こさせます。

 「米銀は2020年以降膨らんだ預金を米国債や住宅ローン担保証券(MBS)に大量に投じたが、急激な利上げで含み損が拡大。米連邦預金保険公社(FDIC)によれば、米銀が保有する証券の含み損は22年10~12月期には6200億ドル(約81兆円)に膨れ上がった。1年前は80億ドルにすぎなかった。信用リスクは小さくても、価格変動リスクは存在する。忘れられていた不都合な真実だ」
 これにより破綻したシリコンバレーバンク(SVB)。

 「SVB破綻の原因はALM(資産・負債の総合管理)の失敗だ。だが、銀行経営にとってALMは いろはのイ。そんな大事な管理手法をないがしろにするだろうか」
 初歩的な経営判断ミス、とは多くの方が指摘していました。

 「投資サークル詐欺のようなものだ。米経済学者のポール・クルーグマン氏はツイッターにこう投稿した。ポンジ・スキーム(ネズミ講)を支えるのは、行動経済学でいうところの、都合の悪いことからは目をそらす現状維持バイアス。SVBの幹部は、いずれALMが破綻するとは思っていたが、そうした不都合な真実は見て見ぬふりをしていたのではないか。バブルの長期化が生んだ慢心だ。だとすれば、SVBの破綻は氷山の一角にすぎない」
 それを感じているから金融不安が収まりません。

 「米金利の低下だけでは説明し切れないドル安・ゴールド(金)高・ビットコイン高が起きている。一連の金融不安が民間銀行に信用創造を委ねた金融システムの構造欠陥によるものなら、ブーメランはドルを基軸とする管理通貨制度に戻ってくる」
 この先の波乱を暗示させるコラムでした。
 
                                               
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